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アメリカで小・中学生に求められる『読む力』

Photo by Susan Yin on Unsplash
Photo by Susan Yin on Unsplash

投稿:2020/05/25

改訂:2023/10/24

Intercultural C&Cのシッピー・大越 彩です。研修準備サポートブログへようこそ!

 

以前、『小学生からプレゼン』というブログ記事を書き、アメリカの子どもたちが普段から行っている「人前で話す」訓練の方法について書きました。

 

我が家には日本だと中3と中1に当たる年齢の子どもたちがいます。平日は現地校に通い、土曜日は日本語の学校に通っています。アメリカでは日本の「国語」に相当する科目は当然ながら「英語」です。

 

今回、それぞれの『国語』での違い、特に『読むこと』に関する違いについて見ていきたいと思います。というのも、一言で言えば「読むこと」なのですが、かなり重視しているところが違うな、と思ったからです。

 

日本では、

-教科書の音読

音読は漢字混じりの文章を正しく読むためにも大事ですし、音読をするときにはいわゆる『斜め読み』はできないので、丁寧に文字を追うことになり、文章理解も進むように感じます。

私自身、英語の本を読んでいて理解しにくい文章なんかは一人でボソボソと音読することがあります。音読することで、文章が音として耳から入るのも良いのかもしれませんね。

ただ、アメリカの学校ではあまり音読を重視しているように感じません。音読が宿題ででたこと、あるかな???ないように思います。

 

 

-文章を読んで、書いてあることを理解するための読解力

問題集などを見ると、『線①の「これ」は何を指していますか』や『作者がこの文章の中で一番伝えたいことに合うものを選びなさい』のように、正しく読めているか、作者の意図を理解しているかということを繰り返し練習をしています。つまり、正確性を高めたり、丁寧に書いてあることを読むということが求められているのだな、と感じます。

俳句や短歌のように限られた文字で壮大な景色や深い心情を描き、それを読み手が読み取るということができるのも、このような正確に、そして丁寧に読むことを普段からしているからかな、なんて想像したりしています。

 

 

一方、アメリカでは

-量とスピードを重視する読み

これは小学生だけかもしれないのですが、例えば、社会の授業で与えられた課題に関して、『読む』授業でテーマに関する資料を読み、『書く』授業で学んだことについて書いたりするなど、複合的な学習が多い気がします。我が家子供が3年生の時、ちょうどコロナ禍だったため、どう学んでいるかを間近に見る機会がありました。その時、理科の授業で動物について学ぶという課題が与えられ、生徒たちは自分で動物を一つ選びました。うちの娘が選んだのは「サメ」。そうすると、『読む』授業では、たくさんあるサメに関する本や資料にざっと目を通し、そこから自分の欲しい情報を探し出し(例えば、『サメの身体について』とか『サメの育児について』などなど)、そこを読みます。そして、読んだものを『書く』授業の課題として(今回はリサーチレポートとして)書いていました。そして、この学んだ知識が理科の学びとされています。

娘の様子を見ていると、音読も精読もしません。ざっと斜め読みをして、必要なところを読み、理解しようとしていました。先生からのアドバイスも「本を一冊全部読む必要はないのよ。必要なところを探して、そこを読みなさい」でした。

 

-作者の意図より、読み手の受け取り

詩や文学作品を読んでも、書いた人がどういう気持だっただろうかということや、何をいいたかったのだろうかというより、「あなたは読んでどう思った?好き?嫌い??なんで?」という読み方をすると感じています。 あるいは、途中まで読んで、「あなたならこの続きをどう書く?」のような質問を出され、続きを自分で好きに書く(『書く』授業の中で)というものあるようです。つまり、書き手や登場人物が主体ではなく、『あなた(読み手)』が主体になっています。

もしかすると、学年が上がり、シェークスピアなどの古典を読むようになったときには、情景や心情理解などするのかなぁとは思っていますが、小学生レベルではしてい無いと思います。

この点に関しては、自宅学習になってから触れていないエリアなので、あまり垣間見る機会はまだないので、単純な私の肌感覚ではありますが。

 

「丁寧に読むことを重視する日本」と「要点を読むことを重視するアメリカ」。

 

お国柄がこんなところにも出ているな、と感じました。

 

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